記憶。

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父とは
あまり
話したことがない。


毎日
規則正しく


仕事に行く
背中


家にいる時は
本を読み
音楽を聴いている。


基本的な記憶は
後ろ姿だけである。


1度だけ
ふたりで出掛けた
記憶がある。


夏の日に
電車に乗って
映画を観に行った。


はじめて
父の横顔を
近くで見たような


気がするなあ。



小学生の私は
思った記憶がある。



刻まれたその記憶は
その後


起こる
私の家族の
たくさんの出来事の序章として


物語の根幹を形作ってゆく。


観た
映画は


紅の豚


なぜ
父が私に
あの映画を見せたかったのか。



それが
解っちゃうようになるまで
大人になってしまった私は


父に会うのが
苦しいくらい


父に感謝と敬意を
抱いている。


父と母のこどもに
生まれて


ふたりの紡ぐ七転八倒
物語を見ることができて


たくさんの感情を
知ることが
出来た。


しあわせに生きることだけが
生きる目的じゃないよね。


格好良くありたいと
願うこころを
忘れない大人の格好良さ。


私の父ちゃんは
かっこいい。


いやあ
最高に格好良い大人に
出会ってしまうと


なかなか
現世での
恋が出来ない。


小学生のあの時から
ジーナの歌が好き。


そして
シャンソンの世界へ
深く深く
潜るほど


狂おしいほどの
うつくしい世界を知り


また
なかなか
恋が出来なくなってしまうのです。



加藤登紀子
シャントゥーズTOKIKO
仏蘭西情歌〜