大きな木の家 わたしのニコ・ピロスマニ。

 ピロスマニという画家をご存知だろうか。彼が生まれたのはコーカサスの山々に抱かれた国、グルジア。ヨーロッパとアジアを繋ぐ地として古くから栄え、多くの民族が行き来し豊かな文化が育まれた。また葡萄の栽培が盛んでワイン造り発祥の地ともされている。そのような地で日々のパンと酒だけを引き換えに、自身の求める美と真実を描き続けた画家がいる。その名はニコ・ピロスマナシヴィリ、通称ニコ・ピロスマニ。
 ピロスマニの描く絵はどれも心に直に響く。それは彼の絵に対する、そして人生に対する真摯な姿勢にあるのだろう。グルジアに広がる雄大で優しい大地、そこに棲まう生き生きとした動物たち。人々の慎ましい日々の生活と、神への感謝に捧げられた祝宴。生きる喜びと苦しみ。ピロスマニはそれらを無駄がない、必要なだけの構成と色彩を通して描く。その絵は素朴である。だがそのことによって観る者は安らかさと悲しさの調和する、この世界の真の姿を直に自身の胸に感じるのである。
 この画家に感銘を受けた一人の日本人がいる。絵本作家である、はらだたけひで氏はピロスマニの生涯を描いた映画『ピロスマニ』に感動、その後日本でのピロスマニの紹介に努めてきた。グルジアにも赴きピロスマニのいた時代に思いを馳せると同時に、その地に根付く自然と文化の豊かさから人生の意味を問い直す。利益や効率ばかりを重視する現代社会では忘れられた、生きる価値を生み出す人間の営み。それは永遠なる自然と共に繰り広げられる、生と死を繋ぐ為にあらゆるものへ捧げられた、無償の愛の行為ではないだろうか。ピロスマニの画業、まさにそのもの。
 『大きな木の家 わたしのニコ・ピロスマニ』は、はらだ氏のピロスマニへの愛に満ちている。放浪を続けながら自らの道を歩み、最期は孤独に世を去ったピロスマニ。だがその生涯には苦しみだけではなく、むしろそれを通してこそ光る人生、世界の真実がある。その真なる源泉をはらだ氏が汲み取り、絵と言葉によって表現する。ピロスマニが目の前によみがえる。そしてこう語るのだ。
「兄弟たち、私たちに必要なものがあります。街の中心の、誰からも近い所に、みんなが集える大きな木の家を建てましょう。大きなテーブルと、大きなサモワールを買って、お茶をたくさん飲みながら、そこで絵や芸術のこと語り合うのです」。



李大成


隠れ家のあたらしいスタッフ。
李君。


履歴書の文章が
あんまりにも
出来がよくて
びっくり。


そこで


絵本について
なんかすてきな文章
書いてよ!



言ったら
書いてくれました。


そして
貸してくれた
その絵本。


いやあ
美意識高くて
びっくり。


いやあ
うつくしい!


わたしもこの絵本
手元に置きたい!