玉手箱。
20歳くらいで
家出をした頃から
わたしは
ずっと老後を
たのしみにしている。
好きな本や映画、音楽を
たくさんかかえて
3食
自分の食べたいものを
ちゃんとつくって
食べて。
お菓子やジャムを
つくって
美味しい珈琲を
たくさんのんで
昼寝をする。
編み物や手芸に
いそしみ。
ゆっくり
お風呂にはいって。
すてきな夢をみる。
考えれば
考えるほと
老後がたのしみだ!
高校生の頃から
飲食店で働いてきた。
朝5時に出勤する
リゾート地のホテルや
深夜までやってる
都会のレストラン。
人を喜ばせるために
はたらくこの仕事に
休日はない。
大晦日は
年越し蕎麦を運び。
元旦は
おせち料理で
おもてなしをする。
きびしい仕事に
涙をながし
帰り道は
足がパンパンだ。
そんな日々を
ずーっと
つづけていたら
いつのまにか
いつも
はあ
老後がはやく
来ないかなあ。
と
思うように
なっていた(笑)
喫茶店なら
もう少し楽かも。
との
浅はかな考えで
喫茶店で働いてみたら
給料の安さに
3つも喫茶店を
掛け持ちで働くことになり
はあ
はやく
老後にならないかな。
と
余計に
思うようになる(笑)
そして(笑)
自分でやったら
もうちょっと楽かも(笑)
という
浅はかな考えで
私の隠れ家を開店したら
見ての通りの
てんてこ舞いな日々(笑)
はあ
老後。
老後には
巣鴨に行って
赤いパンツを買いたい。
とげぬき地蔵に
お参りして
塩だいふくを買って。
ベンチで
のんびり日を浴びたい。
夢の生活まで
あと何年だろうか?
のりこえる
試練が多いほど
老後のよろこびは
増すかなあ。
玉手箱。
いそいで開けたら
だめだな。
すべて
受け入れて
噛みしめて
到達する
桃源郷。
目をとじて
想像する
私の老後は
薔薇色なのだ。