哀しみについて。

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SNSに踊り狂う
幸福協奏曲を
眺めながら。


この
アルバムを聴いている。


わたしが
しあわせ投稿を連発するほど


しあわせだったら


この人の弾く
ピアノの音は


たぶん
まったく
こころに響かないのだろう。



しあわせを
すべてを手に入れるということは
鈍感になるということで。 


たぶん
しあわせではない人の
痛みや苦しみを
わからなくなるということだ。


ビル・エヴァンス
それが怖かったんじゃないかな。


ドラッグに溺れ
ゆるやかな自殺と言われた


彼の生き方は

 
繊細さと優しさを
失わないための
彼なりの処方箋。



だから
こんなにも


この人の音は
最後まで



繊細でやわらかくて
美しいんだよね。




ビル・エヴァンス
踏み外して
ボロボロになりながら
見せてくれた


やさしい景色は
桃源郷のように
うつくしい。


哀しみは
麻薬のように


うつくしさに
魔法をかけてゆく。






本日の1枚

Bill Evans
"You must believe in spring"