ウラオモテヤマネコ。

ウラオモテヤマネコと
少女の物語。



何千年もの間
そのうつくしい姿を
変えずに


いのちをつなげている
イリオモテヤマネコ



いのちをつなぐ。


ということが
彼らの仕事ならば。


わたしたちヒトは
何が仕事なのか。


すでに70億人もいる
ヒト。


宇宙とは
地球とは


ヒトのためだけの
ものなのか。


ヒトに
翻弄されつづけ


それでも
ヒトに
恵みをあたえ
つづけてくれる自然。



木や空や
海、川、草花、森
動物、さかな、鳥たちを
代表して


絵本の巻末に
イリオモテヤマネコから
ヒトへの手紙が
書かれています。




僕は
僕の命をつなげることが
しごとです


僕は
僕の仲間が
ただ たくさんになれば
いいと おもっているのでは
ないのです


僕は 僕らの暮らす島に
ヒトがいなくなればいいと
おもっているのでも
ないのです



僕が望むのは
一欠片をわけあう
気持ちです


このことだけが
みんながハッピーに
生きることの答えなんだと
僕はおもうのです


僕の抱える
メランコリーが
なくなる日は
くるのでしょうか


僕は僕の命を
次に
つなげられるのでしょうか






ウラオモテヤマネコ
絵と文
井上奈奈



イリオモテヤマネコ発見
50周年記念絵本


堀之内出版



うつくしいデザインと
かわいらしい絵と文に
隠された



作者の
つよい
想いや願い。



声高に叫べば
つたわるってもんでもない


しんしんと
つたわる。


たいせつなもの。



なんとも
洗練された
デザインと構成。



こんなスマートな
社会派絵本
ほかに見たことないなあ。



七夕の夜。


見上げる星は
ずーっとむかしの光。


ちっぽけな
自分をちゃんと知る。


おっきな宇宙に
生かされていること。


わすれずにいたいな。