さいごのぞう。

いきものをたべて
いきている。


わたしたちのからだには。


生きてゆくために
ころされた


たくさんのいきものの
かなしみが


いっぱいに
つまっている。






だから



食べたら。



うつくしい地球のため。



歯車のひとつとして。


いっしょうけんめい
はたらかなくては
いけない。



そう。


思っています。







「さいごのぞう。」


井上奈奈 絵・文


キーステージ21





地球という星から
「さいごのぞう」が
消えてしまった日のお話。





ほんとうに必要なものと。
必要でないもの。


欲望という名の
悪魔におどらされて。


毎日。


たくさんのいきもののいのちが
失われてゆきます。


象牙をとるために
象がころされつづけて
いなくなる日。


人間はあやまちに気づき。


それでも
何も言わない。


象のかなしみに。


想いをはせることが
できるのでしょうか。





かんがえること。
かんじること。
こうどうすること。


井上奈奈さんの絵本は。



ささやくようにやさしく。


語りかけてゆきます。



声高にさけぶほど
わたしたち人間はえらくない。


生きてゆくために
殺してきた、殺してゆく。


たくさんのいのちを
せいいっぱい。


いきてゆくこと。


生きているその手で。


やさしさをつくりだすこと。



それが。


食物連鎖のてっぺんに立つ。


人間の仕事なんじゃないかな。






やわらかな色彩と。


うつくしい日本語。



かわいらしいけど
それだけじゃない。



こんな。


うつくしい仕事をする人が
うらやましい。