夜に。

mirefugio2014-11-11

いつもは


ごきげんよう


と、言って
別れていた彼女が


そのときだけは


さようなら。


と、言った。




昭和のはじめ
関屋敏子さんという
歌手がいた。


生きてる

死んでる

ちょうどあいだ。


かなしいような
せつないような
声。


人間は
生まれたら
死にむかって
歩きだす。


日々が
過ぎていくということは
そういうことだ。


死ぬ

いうことは
わるいことでも
かなしいことでも
ないんじゃないかな。


ただ
終わった。


ということ。


自分で終わらすことも
なにかによって
終わらされてしまうことも


終わった。

いう事実には
変わらない。


ただ
彼女の生きた証しを
今、生きているわたしが
聴いている。


ということが


なんだか
じーんとくる。


わたしは好きだなあ。


この人の声。