イパネマから。


おごさん。


と、いう
おじさんがいる。


酔っぱらいで
暴れん坊だけど


酔ってないと
目がキラキラした
こころやさしい風来坊。


見た目では
おじさんなのか
おばさんなのか
よくわからない。


最初みたとき
ジブリの映画の
登場人物の誰かに
似ている。と思った。


そんな
おごさんの紹介で


お姉さんが
隠れ家へ来てくれた。


話していると
アルゼンチンの
フォルクローレを唄う
お姉さんらしい。


そしたら
おごさんが
急に登場し、お姉さんと再会。


今日、隠れ家の前の店
イパネマでのライブを
見に行くらしい。


お姉さんとおごさんは
急遽、そのライブを
一緒に見に行くことになり
私も誘われた。


ライブの最後に
そのお姉さんが一曲だけ
唄った。


お姉さんの声は
なんだか


懐かしいような
せつないような
胸がきゅーっと
つかまれるような声だった。


なんだ
この感じ?



と、記憶のなかを
さぐってみたら


ジブリだった。


さつきちゃん。か?
しずくちゃん。か?


ジブリの中に出てくる
誰かの歌声。


でも
誰だかは思い出せない。


ジブリの世界は
夢物語なんかじゃない。


確実に
探せば身近にある世界。


荒木町のイパネマから
映画の世界へ
つれてゆかれる。


ああ
トトロと一緒に
空を飛べたらいいのにな。


と、思いながら
私は後片付けと仕込みをしに
隠れ家へ戻るのでした。