うけつがれてゆく。

mirefugio2014-10-24

小さい頃から
私のお父さんはかっこいい!
と思っていた。


スーツを着て会社に行く
後ろ姿。


お父さんの部屋にあるランプも
大きな本棚に
あふれんばかりの本も
いつももっている
革のカバンも。


私の自慢だった。


口数のすくない人だった。


立派な仕事をしていることは
最近知った。


自分でお店をはじめて
お父さんの本当の
偉大さを知った。


お金を稼いで
子供を育てるということは
たいへんなことだ。


いろんなものを
あたえてもらった。


にちようびに
電話があって


文学全集を
送るよ。


と、言われた。


わたしが小さい頃から
お父さんの部屋にあった
あれだ。


大切にしてると
言ってた。


いつか
純子にあげると
言ってた。


お父さんの
大事にしてたもの。


あれから
たくさん月日が
たったんだな。


と、思う。


うつくしい本たち。


お父さんがくれた本。


たいせつなものは
たいせつなひとに
あげたい。


そしてまた
たいせつなひとに
あげる日まで
わたしがたいせつにする。


そうやって
うけつがれてゆく
ものがある。


おばあちゃんがくれた
ブローチとペンダントも


死んじゃった
おじいちゃんの集めてた
貝殻のコレクションも


わたしにとっては
なによりも
たいせつなものだ。


家族って
不思議だ。


たいせつなものを
ありがとう。って


なかなか本人には
直接
言えないんだよなあ。