桃。

生きているものの
うつくしさは
一瞬である。

今、
食べるのが
きっと
いちばん
美味しい。

しなやかに
ふくらむ
桃。

傷つきやすく
やわらかい。

あしたに
なったら

今より
きっと
おいしくなくなる。

うつくしい。

ということは
こういうことが
ただしいのだなあ。

と、思う。

永遠に続く
うつくしさなんて
求めたら
きっと、くるしい。

さあ、食べましょう。

今日が
いちばんおいしい桃。

どきどきするくらい
いい匂いがします。

馥郁とは
まさに。

郁、という
名前の友達がいる。

わたしは
彼女の名前の由来を
彼女の結婚式で知った。

馥郁。

よい香りの
ただようさま。

なんとも
洒落た、すてきな名前だ。