あたたかいもの。

たくさんの
お客さまが来てくださった夜。


ごはんが売り切れる。


とてもうれしい。


でも
食べ物がなくなる。


深夜になると
ものすごく
おなかがすく。


片付けが
おわらない。


やっと
終わる頃には
お店はどこもやってない。


おなかがすくと
ろくなことを
考えなくなる。


そんなときは
トボトボと
歩いて


つぼみ家にゆく。


真夜中の四谷。


灯りが
ついている。


自動ドアが開くと
笑顔で迎えてくれる人がいて。


運がいい日は
おつかれさま。
と、言ってくれたりする。


あったかい
お蕎麦を頼んで待つ。


すぐ出来るし
とても安い。


あたたかい出し汁を
すすると


いろんなことが
報われたような
すくわれたような
きもちになる。


ああ
つぼみ家が
あって
本当によかった。


と、
いつも思う。


あたたかいものを
たくさん
いただいている。


あたたかいものは
からまった糸を
ほどくように


こわばった
こころまで
ほどいてくれる。


隠れ家も
そんな店でありたい。


と、
思う。


安くて
美味しくて
いつも、やってる。


四谷三丁目の
お蕎麦やさん。


ありがとうね。
と、
思うのです。