おいしいもの。

mirefugio2016-02-07

もし
お金がすべてだとしたら


茶店なんて


この世のなかから
消えてしまう。




神田の紺屋町に
小さな喫茶店がある。


女の子の夢を
ぎゅーっと
つめこんだかわいいお店。


そこでは
毎日


ひとりの
うつくしい女性によって
パンやお菓子が焼かれ


あたたかいスープや
おいしい料理が
用意されている。




すごく
おいしいよ!



お客さまから
聞いて


一度
行ったことがある。




きれいに
整えられたお店には


ひとつひとつ
ていねいに
袋詰めされた焼き菓子。


そして
ランチを食べにきた


たくさんの
お客さま。




それは
まさに


女の子の
夢の世界のようで。



うわー。



思った。





お菓子を焼くことも
パンを焼くことも


ぞっとするくらいの


とてつもない
労力がかかる。




夢をつくりだす
うつくしい手は
魔法のように


かかる手間を
人びとの
祈りに
かえてゆく。





その
うつくしい人が


きのうの夜
焼き菓子をもって
隠れ家に来てくれた。






真夜中
添えられた
手紙を読みながら


お菓子を
食べたら


ちょっと
涙がでた。





お菓子を
食べてるようで


そうじゃない。




夢とか祈りとか
思いとか願いとか。


そういうものを
食べて
ごっくんと
のみ込む。



からだにも
こころにもきく。




おいしいものって
きっと


こういうものだ。