華々花花。
荒木町と
言えば
ばんしゃく奈美。
ばんしゃく奈美の
ママが
奈美さんである。
毛の抜けた
ほうきを使っていたら
怒られたことがある。
あなたねー
みっともないし
効率も悪いわよ。
そのとおりである。
次の日。
階段を上がる
下駄の音。
そこには
あたらしい
ほうきを持った
奈美さんがいた。
凛とした
佇まいに
つやつやの白い肌。
きびしさの中の
本当の優しさを
もった女性。
朝
築地に行くために
早朝に起きて
深夜まで働いている。
立派なひと。
最近
そんな奈美さんが
お花をくださる。
買いすぎちゃったのよ。
そう言って
ぶっきらぼうに
渡してくれる
かわいらしい花たち。
うれしくて。
でも
戸惑ってしまう。
うまくお礼も言えないし
わたしには
奈美さんに
してあげられることが
何もない。
いつか
わたしも
あんな風に
なれるのだろうか。
いや
一生かかっても
あの
華やかな佇まいは
手にはいらない。