おはなさん。

町の音に
消えそうになりながら


でも
確実に
聴こえた音。


新宿通りの車の音
自転車の音
飲食店の食器の音


かき消されそうになる音


耳ををすませて


たどってゆくと
音の出所は
イパネマだった。


これ誰のうた?


と聞いたら


ああ
これ。


この人
このあいだ
死んじゃったんだよ。



あやちゃんに
言われた。




気になって
CDを買ったら


それは
すばらしい
音楽だった。


もういない
女の子が歌う歌。


あっちの世界の入り口に
つながってるような
つかみどころのない声。



亡くなる前の
彼女の手紙が
インターネットに
載っていた。


死ぬということは
卒業というような
喜ばしいこと。



書かれていた。


迷いのない
そのことばが


音楽にも
しっかり
刻まれている。


こんなにも
伝わる。



ちゃんと
答えを見つけた人は



つよく
うつくしい。