ぞろ目の日。

しごとを
することは


世界を
愛すること


そう
気がついたときから


目の前にひろがる
世界の色彩が


あざやかに
きらめきはじめる



「大きな木の家 わたしのニコ・ピロスマニ」



はらだ たけひで


冨山房インターナショナル



愛とは何か
ずっと
かんがえている


かたちのない


そのものをつかまえる


その瞬間が
キラリとかがやく


それが
愛というもので


それが
画家というしごとにおいては
かたちとして残る


ピロスマニの絵を見たとき
そう
思った


その日暮らしの
不安やさびしさ、かなしみが
重なりあって


震える
その絵は


なんとも
せつない祈りや愛に
満ちていて


かなしくなるくらい
うつくしい


どんなに
ゆたかになっても


人間は
ひとりで生まれ
ひとりで死んでゆく


埋まらない
この
せつなさを


受け入れたひとにしか
できないしごとがある



グルジアの画家
ニコ・ピロスマニに捧げられた


この絵本を
手にとるたび


しごととはなにか
愛とはなにか


かんがえている



つぶらな瞳の いきものたち
わたしたちの やさしいおもい


絵をかくことは 愛すること
この世の うつくしいもの
すべてを



不甲斐ない仕事を
してしまった夜は


この文章と
ピロスマニの震えた
絵を思い出す



つたなくても
情けなくても
稼げなくても


わたしたちが
つくりだす
証のようなもの


いつの日か


だれかに
つたわり、つながると


しんじて歩む


つよさ
うつくしさ


グルジアに生きた
孤高の画家


ピロスマニへの
作者からの愛を通じて


おしえてくれる
すばらしい
絵本です。


新年はじめてのぞろ目。


何にしようかなあ。
と。


本棚のこの絵本を手にとって。


あんまりの
うつくしさに
泣いてしまいました。


うつくしいって
しあわせなこと。


読めばきっと。


あたたかなきもちで
眠れますよ。